サッカニーを求めて

アイラブ2号


最近、靴のくたびれがとみに目立ってきた。靴の踵部分の型が壊れだしてきたのだ。歩き方に問題があるのだろうか、私の靴や靴下は決まって踵から「崩れる」。靴は内側の、踵があたる部分から型が壊れるし、靴下も使い古してくると踵の部分に穴があいてくる。しかし弁明させてもらえるのなら、私は踵部分を踏みつぶして歩いたことは一度もない。靴下は別に置いておくとして、靴が弱まるような履き方・歩き方はしていない。だから理論上踵の部分からくたびれるなんてことはありえない(はず)。なのになぜ?
まあそんな風に問いかけても誰も答えてくれるわけでもなし、気に入っていただけに残念だったが、新たなるパートナーを求めて先週の日曜(今更)、靴屋を物色した。

今愛用しているメーカーはサッカニー。中3の頃合皮の靴を買ったのが馴れ初めで、当時は特に機能面で寵愛するようなことはなかった。言っちゃってみればデザインが気に入って買ったのである。だから初サッカニーが例の如く踵から崩れたときも、まあ仕方ないやと思い、思慮深く考えることなく(というよりそこで買わなければ数年間は買えないような気がして)、たまたま靴屋で目に留まった三本線が光るアディダスの靴を衝動買いした。
やはり衝動買いは衝動買い、いくら満足に試し履きをしたつもりでも、あくまでつもりだったのだと思う。翌日、早速履いて登校してみたところ、踵が痛い。歩けば歩くほど、硬い合皮が踵を圧迫する。痛みをこらえながら、片道20分をかけ着いた学校で靴下をそっと見てみると、踵の部分にうっすらと血のにじみが見えるではないか!まあ、ある程度予想できたことではあるけど、それでも大変なショックではあった。大枚叩いた三本線なのに、、それからアディダス離れが加速したのは言うまでもない。
痛みをこらえつつ渋々履いていた矢先、ふと出向いた靴屋で発見したのが今履いているサッカニーだった。星の数ほど靴あれど(?)、模様が刷り込まれている靴はあまり見たことなかったので、サッカニーのそれはひどく新鮮に見えた。これは買いだーと即座に感じ、また意外にも母親が購入に対し好意的だったので甘えることにした。確か4800円くらいだったと思う。良心的な値段に感動した記憶がある。
帰宅後、同じ轍は踏みたくないよーと恐れつつ履いてみたところ、これがなかなか、快いというか。踵に強い刺激がないだけで、私にとっては全て「いい靴」だ。サッカニー2号(と命名)は基準値を満たした、まさにいい靴だった。また、大きめな作りになっているところもポイントが高かった。私は普通25〜25.5cmサイズの靴でないと履けない。これは24.5cmサイズで作られているはずなのに、25の私でも窮屈さを感じることなく、実に軽快なステップで刻めるのだ。

洗うと若干色落ちする点を除けばベスト靴だと自信を持って推せる、このサッカニー2号。それだけに別れの時期を告げられたとき(=踵が崩れだしたとき)は寂しかった。この寂しさを少しでも紛らわすために、日曜日、新たなるサッカニーを求めて街を彷徨ったわけだが、どこにも置いていない。2号を買った店にも寄ってみたが、そこにすら置いてなかった。どこに行けば手に入るんだろう・・